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この試験体で確認したかったことは、
1.一度破壊された軸組みを再使用した場合の耐力
2.中塗り土の厚さを6ミリ程度にした場合の耐力
(中塗り土厚さは通常地域では6mm、告示仕様では15ミリ)
試験は午後2時過ぎ〜4時までの約2時間。
変形量1/600radから1/50radまで7回に分け、圧縮と引張りそれぞれ3回ずつ行われました。
壁面の変化は、まず1/200〜1/150radあたりから隅角部チリ際の潰れとして表れます。
変形が1/75rad(変形量40ミリ)まで進むと、荒壁側の柱際竪間渡し竹あたりが膨れ、中塗壁側では柱脚付近の壁が面外に押し出されてきます。2サイクル目には中央部にうっすらとせん断亀裂が発生しました。
加力は1/50radまで行い、その後一気に変形量400ミリまで引き戻します。
(写真は最終状態)
結果は1/50radで最大耐力15KN(昨年度の結果の約86%)が確認されました。壁倍率1.0をクリアするのは間違いないと思われます。
観察の結果、1/75radあたりで全ての破壊形状が現れてくることが分かりました。当然のことながら初期の破壊は隅角部に集中します。
1/75radでは隅角部を中心にした半径150ミリほどの半円状の破壊が目立ちますが、これには竪間渡竹の座屈が影響しているようにも思えました。柱際の竪間渡竹の位置を少し内側に寄せると、この影響を柔らげることができるかもしれません。
また、地貫の高さについても同じようなことが考えられます。
このあたりのことは職人さんの意見を聞きながら次の試験に取り入れても良いのかと思います。
(戸塚元雄)

■1/150rad
先ず中塗り面の隅角部に小さな圧縮破壊が発生しました。
荒壁側には変化がありません。最大耐力は約11KNでした。
■1/100rad
中塗り面にうっすらとせん断亀裂が発生しました。
荒壁側では隅角部に小さな圧縮破壊が認められました。最大耐力は14.5KNでした。
■1/75rad
中塗り側のせん断亀裂が2本、3本と増えていきます。更に地貫に沿って水平亀裂も発生しました。
これは貫の『こじり効果(土を縦に断ち割る)』によるものと思われます。
荒壁側にはまだ目立った変化はありません。これは荒壁の乾燥収縮によってチリ際に隙間があるためだと思われます。
最大耐力は1/100rad時と変わりません。
■1/50rad
中塗り側の全面に亀裂が広がりました。
せん断亀裂と上下の貫に沿った水平亀裂がどんどん進行します。
昨年の試験ではせん断亀裂が1〜2本程度発生しただけでしたから、これは明らかに中塗り厚の影響(今年は6ミリ、昨年は15ミリ)だと思われます。
荒壁側では下部の壁が面外に膨れ出しました。
これも貫のこじり効果によるものでしょう。更に竪貫、竪間渡竹に沿った亀裂も発生しました。
最大耐力は15.7KN(これが本日のmax)でした。
しかし2回目には11.8KN、3回目には9KNにまで落ちてしまいました。1回目と2回目の間に何か大きな変化が生じたようです。
■1/30rad
中塗り側は全ての亀裂が拡大します。一部に土の落下も始まりました。
荒壁側も1/50radの状態が更に拡大します。
最大耐力は11KNくらいまで下がりました。
最後は例によって試験体頭部を一気に400ミリ近くまで引っ張りました。耐力は9KNから徐々に低下し4KNまで落ちました。
中塗り土中央部が大きく落下し、荒壁側も落下寸前でした。
柱は中抜き付近から大きく曲がり、バキバキと木の割れる音がします。
しかし、ホゾのダメージはさほどでもなさそうでした。
【観察のまとめ】
本日の試験体Dでは、中塗り厚の影響は1/50rad付近で表面化しました。せん断亀裂は全面に分散し、全ての貫に沿って水平亀裂が発生します。
耐力もここで急激に低下しました。ただし壁倍率には殆ど影響しないと思います。
また、貫の『こじり効果』の影響が観察されました。これはせん断破壊と並ぶ土壁破壊の二大要因と思われます。
(戸塚元雄)